星と石ころ日記

神戸在住。風の吹くまま気の向くまま。

 もう会えないね

今日の深夜勤中、悲しい知らせが届いた。
 
昨日手術に行かれた患者さんが、長時間の手術の甲斐なく亡くなられたという。
 
 
70代の女性。入院当初は口数が少なく、とっつきにくい印象だったが、入院が長くなって次第に周りの人と打ち解けられて、同室の患者さんや看護師と冗談が言い合えるようになっておられた。
 
 
 
昨日ベッドで手術室へ向かう途中の患者さんを、「いってらっしゃい!」と見送ったばかりだった。
 
ちょっと緊張した笑顔で、差し出した手を握り返して「がんばってくるね」と言われていたのに。
 
 
訃報を聞いてショックで、集中治療室までお別れを言いに行きたかったけど、少人数で勤務している夜勤の状況では抜け出せなかった。
 
泣いているヒマもない。他の患者さんに知られてはいけない。
今日手術に行かれる人や、手術後まだ不安定な状態の人もたくさんおられる。
 
そういう思いは勤務している3人ともわかっていて、ただ黙々と働いた。
 
 
 
 
仕事を終えて、帰りの電車の座席に座ったとたん、全身の力が抜けた。
 
 
 
気がついたら電車の中で泣いていた。
 
 

「がんばってくるね」って言ったじゃない。
 
 
 
駅からの帰り道。小さなこどもみたいに泣きながら歩いた。
 
 
お別れに行けなくてごめんね。
すぐに泣いてあげられなくてごめんね。
 
 
目を閉じると笑顔が浮かんでくるのに。
あの手のぬくもりが、まだ残っているのに。
 
 
もう、会えないね。
 


コメント プレイバック

1.患者さんがお亡くなりになられたそうで、心からお悔やみ申し上げます。会えなくなるって本当に辛いですよね。
遺族の方だけでなく、一生懸命治療してきた方々にも・・・
Rinkoさん、どうか気をおとされませんように。
Posted by しゅんじ at 2005年06月10日 23:56


2.初めまして.
なんとなしに辿り着いてふと読みました!
患者さんとかかわりがあるとは,ナースの方ですか?
私も医療従事者です.
まだ新人だし,何もできない身分だけど,私の担当の方も
突然お亡くなりになられて,前日までは普通にお話もしてたのに!
って思うことがありました.

私の祖父がもう命は長くなくて,何度となく危機を脱してきたのですが,そのたびに一人でめそめそ泣いてました.
夜空を見上げて,同じ星の下にいるのになかなか会いにいけない,また元気になってお買い物とかにも一緒に行きたい!
っていつもいつも願っては涙がでる日もあります.

Rinkoさんのこの日記には心打たれましたm(__)m
初めてなのに長々と失礼しましたm(__)m
Posted by アンナ at 2005年06月11日 22:30


3.しゅんじさん>ありがとうございます。昨日言葉を交わした人と、もう会えなくなるってつらいですね。だから一瞬、一言を大切にしなければ、と思いました。

アンナさん>本当につらい仕事ですよね。おじいさんと、ひとつでも楽しい思い出がつくれたらいいですね。大事にしてあげてください。
Posted by Rinko at 2005年06月11日 23:55