あのね かあさんがすきなのよ
だいぶ調子がよくなってきた。
それで今日は久しぶりに近所の本屋さんに行ってのんびり。
前から読みたかった詩集があってそれを探しに行った。
こどもが小さかったときに音読の練習という宿題があって、プリントに印刷されたいろんなひとの詩を一生懸命読んでいて、そのうちのひとり、まどみちおさんの詩集。
まどみちおさんは1909年生まれの詩人さん。
たくさんの童謡の詞も書かれている。
まどさんの名前を知らなくても、絶対童謡は知っているはず。
代表作:「ぞうさん」
「いちねんせいになったら」(ともだちひゃくにんできるかな♪)
「やぎさんゆうびん」(白やぎさんからお手紙ついた・・)
「ふしぎなポケット」(ポケットのなかにはビスケットがひとつ♪)、など。
ほら、知ってたでしょ。
実はこどもが音読していた詩が読みたくて探しに行ったんだけど、かなり昔のことで断片的にしか覚えてなくて、ましてそこの本屋には詩集がほとんどなかった。最近はそういうの売れないのかな。
結局みつからず、こども向けの詩集の中にあったまどさんの詩を立ち読みして帰って、ネットでいろいろ検索していたら・・・・
“この歌は一般には単に「ほほえましい子と母の仲良しのうた」だと思われているようです。ところが作詞者・まどみちおさんによるとそうではないというのです。この童謡は「いじめられっ子を励ますうただ」というのです。この歌の象さんは「それがどうしたの。大好きな母さんの鼻も長いんだよ」と胸を張って言っているのです。”
“象のように鼻の長い動物は他にいません。バクがいくら長いといっても象の比ではありません。この地球上の動物はみんな鼻は長くないのです。そういう状況の中で「おまえは鼻が長いね」と言われたとしたら、それは「おまえは変だね」と言われたように受け取るのが普通だと思います。しかるにこの象はいかにも嬉しそうに「そうよ、母さんも長いのよ」と答えます。長いねと言ってくれたのが嬉しくてたまらないように、褒められたかのように。自分も長いだけでなく、自分の一番大好きなこの世で一番尊敬しているお母さんも長いのよ、と答えます。この象がこのように答えることができたのはなぜかといえば、それはこの象がかねがね象として生かされていることを素晴らしいことだと思い、幸せに思っているからです。象に限りません。
(中略)
数限りない生き物がみんなそれぞれ個性を持たされて違う生き物として生かされていることはなんとも素晴らしいことです。もちろんその中の一員として人間が生かされているのも本当に素晴らしいことです。(後略)”
(『まどみちお自作自註』より)
まどさんの語られる言葉を読んでいると、以前藤くんが“俺は童謡が作りたいんだ”と言っていたのを思い出した。
軽い気持ちで読み始めたのに、胸にいろんなものがズキズキ刺さってきた。どの部分に反応するかは人によって違うだろうけど、わたしにはいっぱい刺さった。
もうひとつ。
お目当ての詩はみつからなかったけど、まどさんの詩を読んでこれもずっしり来た。
「さくら」 まどみちお
さくらの つぼみが
ふくらんできた
と おもっているうちに
もう まんかいに なっている
きれいだなあ
きれいだなあ
と おもっているうちに
もう ちりつくしてしまう
まいねんの ことだけれど
また おもう
いちどでも いい
ほめてあげられたらなあ…と
さくらの ことばで
さくらに そのまんかいを…
(『まどみちお詩集』ハルキ文庫・1998より)
こどものたどたどしい音読でも心に残っているまどさんの言葉、ちょっと真剣に探して読んでみよう。