星と石ころ日記

神戸在住。風の吹くまま気の向くまま。

 目を閉じてみたけど 辛くなるから 目を開けた〜銀河鉄道

悔しい。
 
悔しいとしか表現できない。
 
 
電車に乗って住み慣れた街を離れることも
 
乗り物に乗ってるとじっとしてても進むんだ、と思ったことも
 
シートを倒して後ろの人に舌打ちされたことも
 
車窓から自転車漕いで手を振る人を見たことも・・・・ある。
 
クマのぬいぐるみを拾ったことはないけど。
 
 
 
日常のよくある光景なのに
 
どうして藤くんはこんなふうに唄えちゃうんだ?
 
 
本当にわたしが体験したことじゃないかもしれない。
 
電車で生まれた街を離れたのは「バイバイサンキュー」の彼であり、
「続・くだらない唄」の数年前の彼かもしれない。
 
電車の中で目を閉じているのは「ベル」の彼で、
自転車漕いでるのは「車輪の唄」の彼かもしれない。
 
 
バンプ・オブ・チキンというバンドが奏でる音を通して、藤くんが描く世界をずっと見てきた。
 
だからこの曲を聴いたとき、まるで自分が体験してきたことのように感じたのかな。
 
体験してきたことを集めたように見えるけどそうではなく、実はその一歩先。
 
“放射状に伸びる足跡 自分だけが歩き出せずにいる”(オンリー ロンリー グローリー)
と唄っていた彼らが、
“動いていないように思えていた 僕だって進んでいる”
と唄えるようになったんだ。
 
 
それともうひとつ。
 
“役には立てないし 邪魔はしちゃうし
目を閉じてみたけど 辛くなるから 目を開けた”
 
という歌詞にしばし金縛り状態(笑)
 
普通なら、“辛くなるから目を閉じた”にならない?
わたしならそうなる。
 
目を開けたら、真っ赤なキャンディを差し出す女の子の笑顔があったのか。
 
ああ・・・そうか。
 
 
 
 
タイトルからどうしても宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を連想してしまう。
 
気弱で孤独なジョバンニは、“ほんとうの幸せ”とはなんだろうと悩んでいた。
ある日大好きなカムパネルラと一緒に銀河鉄道に乗って“ほんとうの幸せ”を求める旅に出る。
ジョバンニは電車の中で、鳥捕りや氷山にぶつかって亡くなった青年に出会ったり、自分のからだを焼いて暗闇を照らす蠍の話を聞いて、胸がいっぱいになる。
「カムパネルラ、僕たちはどこまでも一緒に行こうね」と言っていたが、気づいたらカムパネルラの姿は消え、またひとりぼっちになっている。
(本当はカムパネルラは川に落ちた友達を助けようとして死んでしまっていた)
 
この話には旧版と新版があって、旧版だけに出てくるブルカニロ博士という人物が、最後にジョバンニにこう言う。
 
「さあ、切符をしっかり持っておいで、おまえはもう夢の鉄道の中でなしに本当の世界の火やはげしい波の中を大またにまっすぐ歩いて行かなければいけない。天の川の中でたったひとつのほんとうのその切符を決しておまえはなくしてはいけない。」
 
 
“〜目を開けた”のフレーズから、そんな話まで思い出してしまった(飛躍しすぎ? 笑)
 
 
 
おおげさでなく、バンプの、藤くんの成長が感じられる曲。
 
 
そしてまた、彼らが乗る電車に乗り合わせることができて、幸せだ。
 
 
 
 
 
今日の1曲:銀河鉄道BUMP OF CHICKEN
 




コメント プレイバック

1.まだ聴いてないですが私も「銀河鉄道」って聞いたとき宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を思い浮べました。頭の中カムパネルラ祭です(笑)あ〜早く聴きたい!今回は2曲とも星空のうたですね〜。
Posted by 雨 at 2005年07月22日 04:33


2.雨さん>星空のうたですね!日が落ちたあとの野外で聴いてみたいです。
Posted by Rinko at 2005年07月22日 07:26


3.Rinkoさん初めまして。鹿野さんのブログのTBから飛んできました。
私も銀河鉄道宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』とリンクして聴いてしまいました。
旧版と新版は何故話を変えたのでしょうね?個人的には博士が出てこない方がいいかなあと思ったりしますが…
フェスで陽が暮れたあたりで聞いたら最高でしょうね。
良かったらTBさせて下さい。また遊びにきます。(私も神戸人です)
Posted by you at 2005年07月22日 13:46


4.youさん>はじめまして。コメントありがとうございます。
なぜ結末を変えたかはある説によると、賢治が病気をして自分の死期が見えてしまったっため、現実とのズレが生じて、自分自身「ほんとうの幸せ」という理想を追い求めることができなくなったからだそうです。それではっきりした定義や輪郭を書き記さない結末を選んだのではないかということでした。いずれにしても、せつない結末ですね。
Posted by Rinko at 2005年07月22日 14:11


5.TBありがとうございました。
さすがです!Rinkoさんのこの文章。
私にとっても「銀河鉄道」は特別な曲になりました。
最初に聴いた時から!!
たしかに「役には立てないし〜」のところは衝撃でした。
2日経った今もずっと聴いています。この曲に出会えて、
幸せだーって思っています!
私もTBさせてくださいね☆
Posted by ショウ at 2005年07月23日 00:06


6.ショウさん>コメント&TBありがとうございました。本当に幸せですよね。長い間待った甲斐がありました。
Posted by Rinko at 2005年07月23日 02:16


7.銀河鉄道、最高ですよね。「目を閉じてみたけど 辛くなるから 目を開けた」のとこ、僕も同じこと考えてしまいました。物語的な部分も好きですけど、何と言ってもサビの歌詞が胸に染みます。
Posted by ks at 2005年07月24日 00:10


8.Ksさん>わたしも最後のフレーズにはぐっと来ました。ただ、聴く人の世代によってはとらえ方が違うかもしれないと思いました。もう少し聴きこんでみます。
Posted by Rinko at 2005年07月24日 00:27