星と石ころ日記

神戸在住。風の吹くまま気の向くまま。

 ”LIVE FOREVER”The last waltz of Syrup16g@日本武道館(3/1)



渋谷のホテルにチェックインしたあと、関西からの遠征組3人で武道館に向かった。


メトロの九段下駅の階段を登って地上に出たわたしたちの目の前に、『グッズ販売最後尾』のプラカードを持ったスタッフさんの姿が。


「へ?」


武道館はこの駅から徒歩6分らしい。でも目の前に列の最後尾がある・・・ってことは、その距離にグッズを買う人が並んでるってわけか・・・(絶句)


  ↓(この門の両脇に長蛇の列。門を入ってからも先は長かった)




グッズは次々と売り切れて結局お目当てのものは買えなかったけど、友人のおかげで復刻版のTシャツが1枚買えた。



結局1時間以上も並んでいたので、気がつけば午後4時過ぎてもうすぐ開演の時間。

シロップのラストライブをひと目見ようと、全国からたくさんの人が集まって来られた。


ネットで知り合った人に初めてお会いしたり、その友達を紹介してもらったりそのまた友達も・・・


開演待ちの30分で、ものすごくたくさんの人にお会いしたりメールをもらったり。

これもシロップの音楽を通してつながった縁。

ひとりぼっちでCDを聴いているときは一個の点なのに、いつの間にかいろんな人とつながってすごーく長い線になっていたんだな、なんて思ったりした。




グッズ販売のテントの前を通り過ぎると、武道館がしっかり見えてきた。





そして入り口のほうにまわると・・・


黒字に白抜きのsyrup16gとライブタイトルの文字が見えたら急に緊張してきた。

本当に今日で終わりなんだろうか?





今日のライブにわたしを誘ってくれた友人のAさんと一緒に入場して席を確認した。


北側に造られたステージ。その同じフロアがアリーナで椅子がおいてある。

アリーナの周りをぐるっと取り囲むように一段高いところにあるのが1階席。(アリーナから見ると中2階のように見える)

その上にある席がスタンド席。

わたしたちの席はアリーナBブロックの最前列だった。ステージがよく見えてびっくりした。

こんないい席でラストライブが観れるなんて・・・ますます緊張して胃が痛くなった。




今回当初用意されたチケットはあっという間に売り切れた。


それで“メンバーの後姿しか見えない席だけど、その場に参加してもらって臨場感を味わってもらう事に意味があると思うので”と急遽追加発売されたバックスタンド席。


そして“「買いたいと思って努力してくれた全員にチケットが行き渡る状況を作りたい」という思いから、スピーカーの陰で見にくい席や、メンバーのうち1人が見えない席などを、「それでもいい」という方に販売します”とこれまた急遽お知らせされた当日券。


こんな形でチケットを販売されたのも初めてだと思うし、これらがVINTAGE ROCKの若林さんのブログで(もちろんオフィシャルでも)告知されたのは初めてではないのだろうか。



結局最初から席を設けていなかった北側2階のスタンド以外は、すべてお客さんでいっぱいになった。

アリーナの椅子に座ってどんどん埋まっていく会場を、感動しながら見ていた。




Aさんとふたりで緊張して椅子に座って、「1曲目はなんだろうね」と話しながら開演を待った。


入場してから会場にはずっとシロップの曲が流れていて、開演直前は確か“土曜日”だったと思う。



 土曜日なんて 来るわけない


なんて・・・来ちゃったよ。




始まるのは待ち遠しいけど、「始まっちゃうと終わっちゃうんだよね」とつぶやいたら、「ひどいこと言わないでください!」とAさんに怒られた。ごめん・・



客電が落ちて、ステージ左側からメンバーが登場。


いっせいにみんな立ち上がる。


立つとき足が震えた。<セットリスト>


01.きこえるかい
02.無効の日
03.生活
04.神のカルマ
05.I・N・M
06.Anythihg for today
07.イエロウ
08.月になって
09.負け犬
10.希望
11.センチメンタル(五十嵐さん弾き語り)
12.明日を落としても(五十嵐さん弾き語り)
13.もったいない
14.生きたいよ
15.途中の行方
16.ex.人間
17.正常
18.パープルムカデ
19.天才
20.ソドシラソ
21.Sonic Disorder
22.(LIVE FOREVER)〜coup d'Etat
23.空をなくす
24.リアル


En1
25.さくら
26.ニセモノ
27.チャイム(?違うかも)
28.イマジネーション
29.scene through


En2
30.She was beautiful
31.落堕
32.真空


En3
33.翌日
34.Reborn





1曲目・・・で、自分の耳を疑った。



“きこえるかい”



「やられた!」って思うと同時に涙があふれてきて止まらなくなった。

アップテンポの曲で始まるのかと思っていた。“ニセモノ”とか。


“きこえるかい”は、ずーっとライブで聴きたくてしかたがなかった曲。

ここにきて・・・最後の最後で聴けるなんて・・・



 いいさ どんな言葉でも受けるよ
 知らせるさ 君には聴こえるかい



涙を止めようとしてもこの歌詞の部分でまたあふれてくる。

いまさらながらに五十嵐さんの声の美しさを感じた。





そしてMCをはさまずライブが進む。(1回くらい「ありがとう」って言ったかな?)

アリーナからステージを見上げると、メンバーの後ろにバックスタンドのお客さんの姿が見える。

みんな微動だにしていない(ように見える)



本来ならお客さんがいないはずのところにたくさんおられるのだけれど、全然気にならなかった。


メンバーの気迫がすべてを飲み込んでしまっているような。


そしてあの場にいた人全員で、それを息を詰めて見守っている感じがした。





“神のカルマ”で五十嵐さんが「おいっ!」と叫ぶところで思わず右手を上げて一緒に叫んでしまった。

浮いてた?

でも自分では満足(笑)


固まってステージを凝視して聴いている人、リズムに合わせて身体を揺らしている人、激しい曲では拳をあげている人・・・

みんなそれぞれ自分の思うように聴いていた。それでいいんだよね。


1万人いたら1万個の思いがあるはずだ。





“月になって”は本当に美しい曲。

この曲に限らずだけど、五十嵐さんは1曲ずつ丁寧に心を込めて歌っておられた。

ギターはたまに(いつものように?)あれ?って思うこともあったけど、まあそれはそれで。(え)




“負け犬”のイントロでギターをトチった五十嵐さん、中断して「もう1回」とジェスチャー

「負け犬だけにね」って。


初めて会場に起こった笑い。

張り詰めていた空気が一気に和らいだ。

いつものがっちゃんだ!(笑)




“希望”をライブで聴くのも初めてだな。



このあと大樹ちゃん、マキリンが退場。五十嵐さんひとりでアコギに持ち替えて2曲弾き語り。


“センチメンタル”


せっかく止まった涙がまた流れてきた。


一番初めに聴いたシロップの曲がこの曲。

バンプの藤くんがコーラスをしているという“水色の風”聴きたさに『delayed』を借りてきたのがわたしのシロップとの出会い。


そのアルバムの1曲目の“センチメンタル”を聴いて、この人の声、なんて切なくて綺麗なんだろう、と思って、しばらくこの曲ばかりを聴いていた。


当時のことを思い出して、涙が止まらなかった。そのうえ次が“明日を落としても”だし。


それでも嗚咽にならないよう、なんとか自分を抑えた。

もしかして周りの人も同じだったのかもしれないけど。




中盤でようやく新しいアルバムから1曲、“途中の行方”




“ex.人間”では出だしのコーラスもばっちり決まって、でも3人のコーラスを聴くのもこれが最後か、と思ったら切なくなった。みんな同じように思ったのか、拍手が他の曲より大きかったように思う。




そして“正常”


去年の野音のときも凄かったけどマキリンのベース・・・・鳥肌が立った。


前より今日のほうが凄いかも、ベースの弦も切れちゃうこととかあるんかな、あんなに強く激しく弾いて切れちゃわないんかな、とか思いながら聴いていた。


マキリンの、いやキタダマキさんの“正常”のベース、もう聴けないんだなあ・・・





このあとだったかな。


いきなり五十嵐さんが両手で髪をかきむしって、「もう終わっちゃうよ〜」って。


なんてこと言うんだ!(いやそうなんだけど・・・)

この言葉にめちゃ動揺してしまい、それまでそれなりに覚えていたセットリストがぱーっと消えてしまった。


終わりたくなかったら終わらなくていいよ!って叫びたかった。




そして“パープルムカデ”〜ラストの“リアル”まで、一気に駆け抜けた。

正直椅子がなかったら前に突っ込んで行けるのにな、とか、モッシュしたいな〜とか思ってちょっと欲求不満だった。

ここがクアトロだったら・・せめてなんばHatchだったら・・・・ってね。


でもあとで友人にも言われたけど、武道館だからみんなでライブが観れたんだよね。

それでもチケット取るの、大変だったもんなあ。



どの曲もよかったけど、“Sonic Disorder”が特によかった。

この曲が大好きだと言われていたひとの顔が浮かんだ。今日もどこかに来られているだろうな。





1回目のアンコールはほとんど新しいアルバムから。

3曲目は以前聴いた“チャイム”って曲かな?はっきりわからないけど、アルバムに収録されていない曲だった。


それにしても、「さよなら」だとか「死ぬつもりだった」「ひとりで生きていけるさ」とか、

「さあ終わりにしよう」とか、

身を切られるよな歌詞のオンパレードで、正直聴いているのがつらかった。

(だからわたしはあまり新しいアルバムが好きではない)





Wアンコール。


友人が“She was beautiful”が聴きたい、と日記に書いていたので、イントロが聴こえてきたとき「やったね!」って思わず心の中でガッツポーズした。




“落堕”では「寝不足だって言ってんの」って右手を上げて一緒に歌った。

ええ、もう人がどう見ようとかまいません。最後だもん!




“真空”では拳を上げてた人が多かったな。

あー、モッシュしたい(こればっか)





3回目のアンコールでは大樹ちゃんに背負われて五十嵐さん登場。


去年12月のNHKホールのときもおんぶされていたらしいね。

そのときのインタビューで五十嵐さん、「ステージに出ようとしたら前を大樹ちゃんが歩いていて、ふざけて首を絞めようとしたらおぶわれちゃった」って言っておられたけど、今日はどうだったんだろう?



最後だと思うとそんなひょうきんな?姿も泣けてしまう。(結局また泣いた)





「これで終わり。明日は来ないんだ。

プレーヤーで、明日を歌った歌もたくさんあるので、良かったら聞いてください。この曲も明日を歌った歌です」




“翌日”


イントロが聴こえてきたとき思わず顔を覆ってうずくまってしまった。

実は一番と言っていいほど大好きな曲。

やってくれなかったら帰れない、とまで思っていた。

シロップの曲の中でも最も純粋で透明感の高い曲だと思う。


でもそんなふうに紹介されたらつらい・・・つらいよ、五十嵐さん。





「・・・メンバー紹介・・・しちゃおうかな?」

と。


中畑さん、それから「スーパーベーシスト!」キタダさんを紹介したあと、

「今日も今日とて(だったっけ?)、五十嵐隆と申します」(笑)


なんか照れくさそうだったね。

なんで「申します」なん?



泣きながら笑った。





“Reborn”

やっぱり最後はこの曲。

今までは五十嵐さんがひとりで弾き語りすることも多かった。

でも今日はバンドで。最後だもんね。


どこにまだ残っていたのかと思うくらいに、また新しい涙が出てきた。


あーーーー、本当に終わっちゃう・・・・



この曲の・・・どのへんだっけ?


 遠回りしていこう


のあとくらい?


急に会場の照明がぱあっ、と全部点いた。


シロップの3人も、お客さんの顔もすべてはっきり見える。


驚いた。と同時に感動して身体が震えた。


真っ暗な絶望の中に光が射したような、

それまでひとりぼっちだったのに、一気にみんなと心がつながったような、

そんな感動。



顔が涙でぐしゃぐしゃだったので、一瞬「やばっ」と思ったけど、きっと誰も気にしない。


みんなステージの3人を見つめているから。


ステージからもお客さんの顔、見えていたのかな。




ライブ終了。


五十嵐さんを真ん中に、大樹ちゃん、マキリンの3人が手をつないでお客さんに向かってお辞儀をした。


まばたきするのも忘れて3人を見た。


泣いてる場合じゃない、3人の姿を焼き付けなくちゃ、と思うのに涙が止まらない。



大きな拍手に送られて退場。



“Reborn”が会場に流れてきた。

隣のAさんがバタンと椅子に座って顔を覆って泣きじゃくるのが見えた。


これ以上泣くのがいやで(今さらだけど)流れてくる五十嵐さんの声に合わせて口ずさもうとしたが声にならない。

Aさんを見ていると泣いてもいいんだ、と思えた。



大好きなバンドが解散してしまった。

素直に悲しいって、寂しい、って言っていいんだ。



これまでの自分は素直じゃなかった。

Sさんが日記にうまいこと書かれていた。



「今までさんざん放っておいたくせに
最後の最後でなんでそんなに優しくするのよ
そんなこと言われたら…そんなこと言われたら……
余計忘れられなくなるじゃないか。バカッ−−−−−!!」



そんな気持ちと、解散という事実が受け止められなくて、武道館には来ないつもりだった。

でもAさんが、「リンコさんと一緒に最後のライブが観たい」と言って誘ってくださったのでなんとか勇気を振り絞って来ることができた。



来てよかった。


いっぱい泣けてよかった。


Aさん、本当にありがとう!





そしてどのあたりだったか、五十嵐さんが会場を見回して、

「心配だったんだけど・・・凄いね」って。


お客さんがたくさんなのに驚かれた感じだった。

でもね五十嵐さん。


ここに来たくても来れなかったひと、まだまだたくさんいるんだよ。

今までも、そしてきっとこれからも、syrup16gはたくさんのひとに愛されていくんだ。

そんなみんなの想いが伝わったかな。






翌日、品川駅で新幹線の時間を待ちながらiPodで“夢からさめてしまわぬように”を聴いていたらまた泣けてきた。

朝早い品川駅でiPod聴きながら泣いているおばちゃん・・・シャレにならん!(笑)


この曲が最後の曲だったら立ち直れなかったかもしれない。



でも“Reborn”だったから・・・・


いつか生まれ変わってきてくれるよね?


その日が来るのを待っているからね、五十嵐さん。





ありがとう。


そして、少しの間だけさようなら。




☆☆☆


追記:シロップのラストライブでご一緒させていただいたみなさま、ありがとうございました。

ライブ後の飲み会も楽しかったです。

Nさんの三口分の精算話、書きそびれました。ご期待に添えなくてごめんなさい(笑)



シロップがなくなっちゃったら遠征の機会が減るからもう会えないかも、なんて寂しいことを言わないで、またどこかでお会いしましょう!