(以下、ネタバレあり)
この日のイベントを知ったのは、去年の11/19に、心斎橋クラブクアトロであったフラッド(a flood of circle)のワンマンのとき。
平日なので行けるかわからないけど、終演後会場売りの先行チケットを買って帰った。
まさかその後1ヶ月も経たないうちに、ベースの石井くんの脱退が発表されるなんて。
2009年7月のツアーファイナルを前に、ギターの岡庭くんが失踪したときよりショックが大きかった。
だってそのときの苦しさを乗り越えてきた仲間だったので、まさかこんなことになるなんて思いもよらなかったから。
先日発売された『音楽と人』にギター&ボーカルの佐々木くんのインタビューが掲載されている。
- 出版社/メーカー: 音楽と人
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- メディア: 雑誌
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怖くてなかなか読めない。
まず巻頭の記事、ピロウズの各メンバーのインタビューを読んだ。
結成22年目を向かえても、揺るぎないメンバー同士の信頼感。
大好きなピロウズの記事に、普段なら感動して終わるのだけど、今回だけは苦しくなってしまった。
そして結局佐々木くんのインタビューを読めないままにライブの日を迎えた。HISAYOさんという女性ベーシストが新加入されての新しいフラッドのライブ。
石井くん脱退のお知らせとともに発表されたこの出来事。「サポート」じゃなくて「新加入」という事実に胸が苦しくなった。
会場先行のチケットなので整理番号は良番。なんとか開場直前にunagidani sunsui(鰻谷 燦粋)に着けて入場。
チケットはSOLD OUTしていて最前列には柵がないということもあって、あまり前に行かずフロアの柱の前くらいに行った。
先攻はSCOOBIE DO。
今までちゃんとライブを観たのは2回だけで、2008年のGOING KOBEと2009年のOTODAMA。
そのときは遠めで見ていたけど、今日はハコが小さいこともあってがっつり楽しんだ。
“トラウマティックガール”から始まって、あとわかった曲は“ロールオーバー14歳”“バンドワゴン・ア・ゴーゴー”“ブランニュー俺”、そして最後に「デビュー曲やります」と“夕焼けのメロディー”
ファンの方と一緒に踊りまくって楽しかった!
「人生を楽しむことが上手な君たちにソウルソングを。」
と言われてバラードっぽく始まる曲がめっちゃよかった!
“最終列車”という曲らしい。
あとコヤマシュウさんの印象的なMCは・・・
思うままに踊ったらいいんだよ、と言われたあとで、
「ルールは君と俺のソウルだけ」
「a flood of circleのファンもたくさんおられるだろうけど・・・統一感のない一体感が素敵だ!」
「K-POPの人気者○ARAは、5人のうち4人が脱退するって言ってるらしいけど、
スクービードゥーは誰ひとり脱退しません!」
「今年も○方神起はやめて、スクービードゥーでいきます!」
後ろの女の子が、「今年“も”!?」と反応したのがおもしろかった。
シュウさんが水分補給するときのボトルに、でっかく『栄養』と書いてあって、飲むたびに笑いが起こった。
そして、
「ロックは自分から動かないと始まらない。
止まると終わっちゃうんだ。
だからスクービードゥーは、ロックンロールし続けるよ!」(うろ覚え)
フラッドの佐々木くんに聞こえるように言っているように感じてしまった。
「長年やっているからわかるんだ。
バンドは楽しい!ロックは最高!」
とも。
踊ったり笑ったりじーんとしたり、忙しくて熱いライブだった。
セットチェンジ。
サポートギターの曽根さんの位置と、ベースの位置が逆になっていた。
そして準備されているHISAYOさんを見て、ああ、やっぱり石井くんはいないんだと思い、ちょっと寂しい気分になった。
ドラムの渡邊くんの髪が短くなっていた。
◆flood of circle
01.百鬼夜行
02.フェルディナン・グリフォン・サーカス
03.シーガル
04.Miss X DAY(新曲)
05.Sweet Home Battle Field(新曲)
06.Black Magic Fun Club
07.月に吠える
08.Chameleon Baby
09.Human License
10.泥水のメロディー
11.ブラックバード
En.ロシナンテ
新加入のHISAYOさんは、きれいで色っぽくて魔女みたいだった。時々ふっと笑顔になるとかわいくて、ベースはかっこ良かった。
ベース弾きながら舞っている感じ。
そしてバンドが急に大人っぽくなったように思えた。
“シーガル”で、サビをみんなで歌ったとき、
みんなが佐々木くん、渡邊くんに届け!と想いをこめて歌ったような気がした。
明日がやってくる それを 知ってるから
まだ この手を伸ばす
2曲やった新曲どちらもよかったが、特に“Sweet Home Battle Field”が凄くよくて。
ライブ映えする曲、初めて聴いた曲なのに心地よくてトリップしそうだった(古!)
佐々木くんが、
「俺はネクラな人間だから、こういうところで吠えることができてよかったです。」
と言ってから“月に吠える”を。
去年3月ファンダンゴでのワンマンで、この曲を本編ラストにやった。
そのとき佐々木くんが、「次が最後の曲です。この曲は、3人でやります。」と言って、サポートギターの方(そのときは奥村大さん)が退場。
「“月に吠える”は、3人の曲です。」と佐々木くんがもう一度言ってから歌い出したことを思い出した。
どこの誰にも自分の声が 届かなくても構わないんだ
孤独に生きるのが生き物だ
深い深い孤独の歌だ。
わたしの前にいる男の子が、そっと涙をぬぐったのが見えた。
“月に吠える”のあとメンバーは水分補給。と、そのとき、
渡邊「これ、曽根さんでしょう!?」
え???
曽根「俺かもしれないし俺じゃないかもしれない。」
???
どうやら渡邊くんの飲んでいるペットボトル、普通のミネラルウオーターのはずが、オレンジ味だったらしい。曽根さんがこっそり入れ替えた?
渡邊「もう!!ステージでこんないたずらやめてくださいよね!!」(笑)
曽根「本番前にさ、誰に当たるかわかんないけど・・・でも自分のは確認して(笑)・・・誰かなと思っていたら、ナベちゃんが顔歪めてて。」(笑)
渡邊くんややふてくされ気味。
佐々木「あーびっくりした!何が起こったのかと思って。
久しぶりにステージで、取り残され感があったよ。」(笑)
・・・もしかしたらこのタイミングで渡邊くんがこの話をしたのは、“月に吠える”のあとのしんみりした空気を変えるためかなと思った。
佐々木くんも笑ってたし。
昨日名古屋で打ち上げのとき、スクービーのシュウさんといろんな話をした。
シュウさんになぜ、a flood of circleにシンパシーを感じてくれるんですか、と聞いたら、
全部言うわけにはいかないけど・・・と佐々木くん。
「一部抜粋すると(笑)、フラッドは“乗り越えてるから”と言われました。」
そのあとやった“泥水のメロディー”で、拳を上げながら泣けてきた。
最後は「デビュー曲をやります」と、“ブラックバード”
未来 未来 未来 未来 黒い鳥の声が
未来 未来 未来 未来 朝を待っている
アンコールは“ロシナンテ”
かすかな光が今 俺を撃ちぬく
名前を呼んでる声がする
何かをなくしながら それでも行かなくちゃ
踵に聞こえている 足はまだ見ぬ方へ
フラッドの曲は、深い孤独の中に潜んでいながらも、かすかな光の射すほうへ進んで行こうとしている曲ばかりだなと思った。
3月3日にはまた大阪に来るし(爆ひな)、春にはCDもリリースする予定だそうだ。
家に帰ってから『音楽と人』を読んだ。
石井くんは、この前のツアーが始まる前から辞める決意をしていてずいぶん話し合ったそうだ。
だから脱退発表と新加入の発表が同時だったんだね。
脱退の理由は複数あるのだけど、
「石井が辞めて応援してくれたお客さんも傷つくと思うんですけど、
その理由を問うとしたら、全部バンドのせいにしてほしい。
俺とかナベちゃんがいいものを作れなかったから石井は辞めちゃったんだって思ってほしい。
その傷をちゃんと背負ったままいい曲を作りたいし、聴いてほしいから。」
「最近、幼馴染だけで組んでるバンドの映像を見たりすると、ちょっとキュンとしちゃいますね(笑)」
(『音楽と人』2011年2月号より)
たくさんの苦難を乗り越えて、前へ進もうとする佐々木くんの決意が見えたいいライブだった。
あ、そうそう、佐々木くん。
この日は雨、降らなかったね。