星と石ころ日記

神戸在住。風の吹くまま気の向くまま。

 sleepy.ab “archive tour 08” ワンマン@梅田シャングリラ(3/7)

3/1、悲しいなんて言葉では表現できないくらいの想いをもらった武道館。


3/6、バンドが少しずつ変わっていくのは当たり前、と理解していても気持ちがついて行かなかった大阪城ホール


たくさんの重たいものを肩に乗せながらこの日を迎えた。



シャングリラに向かう途中、ビルの後ろに沈んでいく夕陽を見てわけもなく泣いた。




今日は記念すべきスリーピー(sleepy.ab)の大阪での初のワンマン。




スリーピーと出会った頃には「札幌と東京でしかワンマンやらない」と言われていた。(東京まで飛んで行った)


去年のミナホで成山くんに、「今の野望は?」って冗談ぽく聞いたら、真剣な目をして「大阪ワンマン!やりますよ、絶対」と言われた。




だからだから、どんな用事があってもその日にはすべてを投げ捨てて駆けつけるつもりだった。


結局投げ捨てるほどの用事はなかったけど、気持ちはぐしゃぐしゃだった。



それでもシャングリラの前まで来て、ドアの中にスリーピーのマネージャーさんの顔を見つけて、何人かの友人に会って話をしていたら落ち着いてきた。



前回のライブのときにもらったフライヤーに書いてあった振込み先にチケット代を振り込んで、届いたのが2週間前。

それはシャングリラ発のチケットで、整理番号はなんと2番!今までのすべてのライブの中で一番前の番号。



迷わず最前に行った。最初ど真ん中に立ってみたが、4人を見渡せるほうがいいなと思い、右端の成山くんの前へ移動した。



ステージに置かれたセットを見ていたら、気持ちが落ち着いてきた。


スリーピーのワンマン自体1年ぶりの2回目だということに気づいた。


「今日はたくさんの曲が聴ける!」とわくわくしてきた。



お客さんを見回すと、最初の頃に比べて男の子が多くなっている。

スリーピーの出演するイベントや対バンライブで必ず見かける方たちももちろん来られている。

初めてスリーピーのライブを見るという人も多そうだ。



「今日は大阪初ワンマン、おめでとう!」のライブなんだね。少しずつ心が晴れてきた。





10分遅れで開演。


ひっくんを先頭に4人が登場。

目の前に成山くんが。照れくさくて靴を見る(笑)<セットリスト>


01.PAIN
02.四季ウタカタ
03.夢の花
04.inside
05.Anomarokaris
06.ループ
07.Mass Gymnastic Display
08.なんとなく
09.メリーゴーランド
10.賛歌
11.arcadia
12.雪中花
13.メロディ
14.遊泳スローモーション
15.Scene


En1
01.ねむろ
02.24


En2
03.white(アコースティックVer.)
04.メロディ(アコースティックVer.)





1曲めは“PAIN”だった。


バンドを組んだ当初はこの曲しかオリジナルがなくて、3年間これを練習していた、と前に言われていた。

いわばスリーピーのはじまりの曲。


今日にふさわしいな、と思って聴いていたが、どんどん引き込まれて行って、「音楽の世界ってすごい!」と思うと同時に「あの人はどうしてこの世界を手放してしまったんだろう」と思うと泣きそうになった。早すぎる(笑)




気持ちを立て直さなきゃ、と思っていたら2曲目で事件が起きた。


“四季ウタカタ”



1番が終わる頃だったかドラムの津波(つは)くんがシンバル(って呼んでいい?)をじゃ〜んと叩いたらそれが外れて床に落下!

右側の小さいほうのやつ。

絶妙のタイミングで落ちたので音にあまり影響がなく、後ろのほうのお客さんは気づかなかったかも。

「あちゃー!」っていう顔して一瞬苦笑いする津波くん。

メンバーも気づいてちらっと見る。

それでも何事もなかったように曲が終了。




津波くんが成山くんに「続けていいよ」という感じで左手で合図。


“夢の花”終了。



そのあとシンバルをつけ直したんだっけ?



あってはならないアクシデントだろうけど、おかげで目が覚めた。


ライブは何が起こるかわからない。


そこをアイコンタクトや小さな合図で乗り切る。これもまたライブの醍醐味?


正直心臓がばくばくしてました(笑)


乗り切った津波くん、かっこよかった!


つか、書かなかったらバレへんかった?ごめん・・・





実は上にあげたセットリスト、わたしの記憶では“inside”と“Anomarokaris”が逆だったように思った。


“Anomarokaris”が初めてライブで聴けたのと、“inside”のイントロがすさまじくて全身鳥肌が立って、そのへんの記憶が飛んでいる。


アルバム『archive』の中に何曲か再録された曲があるんだけど、中でも“inside”が凄い。

だからライブで聴けるのを楽しみにしていた。

それが予想をはるかに上回る曲になっていた。

確実にバンドが成長している、と感じた。(←何気にエラそう)


もっともっと大きな世界に出るべきだよ!と思った。

でも本当にでっかいホールでライブをやるようなバンドになっちゃうと、またわたしは寂しいとかなんとか言うんだろうか?ただのエゴだよな。


そんないろんな思いがぐるぐるしていた。




「こんばんは、札幌から来たスリーピーです」

と短いMCをはさんだだけで、“ループ”〜“Mass Gymnastic Display ”へと一気に演奏。

ちらっと横目でお客さんを見たら、みんないい感じでゆらゆら揺れていた。





もう一度バンドの紹介をひっくんが。

「初の大阪ワンマンです・・・

楽しんでいってください。眠くなっても僕らの場合はそれでいいので」(笑)




「いろんな街でライブをやっているとその街の表情が見えておもしろいです

と今回のツアーで行った街の名前をあげるひっくん。「長崎は初めて行きました」と。


それを受けて成山くん「札幌から長崎ですよ。もう外国ですよね?」と。

大きくうなずくわたし(笑)



大阪でびっくりしたのは自転車に乗っている人がベルを鳴らすことだそうだ。

成山「北海道ではほとんど鳴らさない、だから大阪で後ろから鳴らされたときにはすごいびっくりしました・・・怖い街ですね」(爆)


チュートリアルの「ちりんちりんネタ」聞かせてあげたい、と思いながら聞いていました(札幌ならウケないかも?)


田中(ひっくん)「北海道はゆったりしていて・・曲を作るのにいいんですよ。スリーピーの曲を聴いて北海道を感じてもらえれば嬉しいです」




“なんとなく”


 好きなものが多いほうが 幸せに決まっている


今日はこの歌詞が沁みた。



“メリーゴーランド”

を聴いているといつも心が落ち着いてくる。





そして“賛歌”


大好きな大好きなこの曲。

きれいなだけじゃなく、強さがある曲。



 階段上がれば 景色は変わっていくから
 逃げたいなんて 言わない



仕事で疲れ果てたとき、いつもこの曲を聴いている。

この曲聴くたびに泣くなんて条件反射みたいでいやだ、と思い、泣くのをがまんしようと涙を飲み込んだら鼻水が出てきた(笑)



最後の歌詞でまた涙が出そうになりまた飲み込んだら鼻の奥がつんとした。



 春を待ち夏が終わる
 それでもあなたはここにいる
 もう一度今日という日に
 涙を流して生きていける



こんな美しい音楽に出会わせてくれて、神様ありがとう、と心から思った。





「バンド始めて10年経ちました。よくやって来れたな、と。誰もやめようって言わないから(笑)。まだ飽きませんけど」と成山くん。

他のメンバーも笑っていた。





arcadia” “雪中花”“メロディ”と目の前に流れる曲の美しさに圧倒されて、どこだったかで成山くんが何かを言ったことに対してすぐに反応できず、成山くん「敵ですか?味方ですよね?」って。

声も出ない、身動きが取れないくらいにスリーピーの音楽の世界に見惚れていたんですよ。

きっとみんなも同じ思いだったと思う。成山くんにそう言われてはっとして浮かんだ笑顔がみんな優しかったもの。





久しぶりに聴く“遊泳スローモーション”

曲に身体だけじゃなく心まで預けて揺れていた。





「最後の曲です」

と言われて我に返った。

え?早いよーーー

このまま時間が止まってしまえばいいと思っていたのに。



“Scene”


もう終わっちゃうのか〜

心を澄ましてちゃんと聴けたんだろうか。

と思っていたら山内くんが立った。

終わりの光景。


もっと聴きたいよ。



大きなアンコールの拍手。


気づいたら手のひらが汗ばんでいた。


いつもならすぐ出てきてくれるのに少し間をおいてメンバー再登場。



田中「MC硬すぎたな、って今話し合っていました」(笑)

いや〜、ひっくんらしいと思います。


そこで柔らかい?話題。


「僕ら4人は専門学校の同級生です。音楽のコースで・・」



ひっくんはC組。あとの3人はA組。

それぞれ100人くらいのクラスなのに、3人は席が近くて山内くんと津波くんが隣同士でその後ろに成山くんがいたとか。

山内くんが「タバコ吸いに行かない?」って成山くんを誘ったのにその頃突っ張っていた成山くんは「行かない」って。

「その頃人見知りでひとりも友達いなかったから、あとで“惜しいことしたな”って後悔しました」(笑)




成山くんは根室出身で札幌から5時間かかるそうだ。山内くんは函館出身で、札幌から3時間。


「だから僕が山内んとこに行こうとしたら8時間!」


って、北海道って広ーい!


その根室と眠りをかけた曲が“ねむろ”


そう曲紹介している成山くんの後ろで、津波くんが「ダジャレはやめてって言ったのに」とぽつんと。

津波くんがよく喋ってくれておもしろかった。





この“ねむろ”、聴くたびに泣いてしまうんだけど、この日は違った。

成山くんの声に包まれてとても温かくて優しい気持ちになれた。

幸せだった。





そして“24”



絶対にライブで聴きたい曲。イントロが聴こえてきたとき、ぎゅっと両手を握り締めてしまった。


この曲のすごさは言葉では表現できない。

終わりに近づくにつれて、自分の脈が速くなるのがわかる。


今日は山内くんは「14!」のあと立ちました。





Wアンコール。


拍手が鳴り続く中、スタッフさんが椅子、アコギ、カホンを準備された。

みんな口々に小声で、「アコースティックだ」「アコースティック!」と言っていて、期待の高さが伺えた。もちろんわたしも。




アルバム『archive』には、ボーナストラックとして2曲、アコースティックライブでやった曲が入っている。(そのライブ盤は限定発売されすでに売り切れ)


「アコースティックも聴いてほしいのでその曲をやります」と。

月神戸スタクラで成山内のアコースティックライブは観たけど、4人でやるのを観るのは初めてだ。


4人ステージの前のほうに座って並んでスタンバイ。

カホンに座った津波くん、「いつもはドラムなのでこんな前に出るのはめったにないけど・・・お客さん近っ!こわっ!よかったよ〜ドラムで。」(爆)




ひっくんが「1曲目やるときお客さんがいっぱいいて実はぽろっと涙が出たよ・・・」と言われたのはこのへんだったかな?




成山くんが山内くんの前あたりのお客さんを指差して、

「そのへん、気をつけて。(山内が)ダイブするかも」(笑)

山内「モッシュしたり」

成山「津波もやるかも」


え!と思わず身構えるお客さん(笑)


成山「(後ろを指差し)あの辺なら男のお客さんが多いから大丈夫」


おいおい(笑)





「さっきの専門学校の話は続きがあって」と成山くん。

「4万円くらいした新しい靴を履いて歩いていたら、犬のフンを踏んじゃって・・・しかも雪道だったからずるっとなって」(笑)

「振り向いたら山内が後ろにいて、見られた!って思って」(笑)

「10mくらい下がって山内のところにいって、“見た?”って言ったら“見た!”って」(笑)

「口止めのつもりで」


山内「あ〜、だからあのあと一緒にタバコ吸いに行ったのか!!」(爆)




その話のあと“white”


犬のフンのあとwhiteですか〜〜

とってもきれいな曲なのに笑い出しそうで困りました(笑)





「ありがとうございました。また大阪に来ます・・・ってその前に東京があります」

翌日は銀座でインストアライブ、翌々日は代官山でワンマンだね。



「来月札幌もあります。札幌」


やばっ!目が合った!


「北海道に来てください・・・目が合っちゃったね」


って、わたし〜〜!?


隣で津波くんもこっち向いて笑ってたような・・・


いや、隣の子に言ったかも、と思いながら恥ずかしくて前が向けなかった(汗)


でもこっそり指でOKマークしてたの見えたかな?だって合言葉は「一緒に北上!」だもんね(笑)




いっぱい笑ってほぐれたあと、最後の最後にアコースティックで“メロディ”


せっかく飲み込んでいた涙がとうとうあふれてきて止められなかった。


涙が止まるまで下を向いていた。成山くんの顔が見れなかった。


こんなの反則だよ。



アコースティックだと成山くんの声がさらに澄んで、心の奥深くまで染み込んでくる。

泣きながら、とても幸せだった。



すべて終わってから4人が立ち上がり、手をつないで「ありがとうございました!」とお辞儀。

スリーピーでは初めて見る光景。

成山くん、とまどっていたから予定になかったのかな?




客電が点いてからもしばらく動けなかった。


誰かと会っても声が出そうにないので、しばらく柵にもたれてぼんやりしていた。



ライブ前に抱いていたモヤモヤもすっきりしていた。


また明日からがんばろう、と思った。



 新しい僕たちの道は 苦しいから笑おうよ
 真っ直ぐに ただ真っ直ぐな道を 真っ直ぐに歩きたいね



強い言葉や激しい言葉でなくても、こんなにも勇気をくれるんだね。


出会ってくれてありがとう。もう一度つぶやいた。