明日に変わる意味を
あれから1年。
なんて、お約束の言葉をつぶやいてみる。
あのときの武道館のなんとも言えない雰囲気も、
1曲目の「きこえるかい」で号泣したことも、
バックステージの席で、最後まで微動だにしなかった多くの人影も、
「Reborn」の最後で、急に会場の照明が全部点いてまぶしかったことも、
昨日のことのようだ。
それでも真っ先に浮かんでくるのはそういう場面ではなくて、
東京に向かう3月1日の朝は雨上がりだったことや、
開演前にトイレに行ったら聴こえてきた「土曜日」。
なぜだ。
心のメカニズムって、いったいどうなっているんだろう。
わたしはまだ、再出発した五十嵐さんのバンドを観ていない。
そのせいかどうかはわからないが、syrup16gは今も近くにいる。
五十嵐さんも大樹ちゃんもマキリンも、とっくに歩き出しているのに。
みんないなくなったsyrup16gは、抜け殻になってしまうのかと思ったが、どうやらそうではないみたい。
アカデミー外国語映画賞を受賞した日本映画の『おくりびと』の英題は、“departures”(旅立ち)だそうだ。
去年の3月1日と勝手に結びつけて、
ああ、そういうことかとひとりで納得したり。
今日1日は感傷的になっていたい気もするが、
それは自分らしくないと思った。
なので今日は、歯を食いしばって前に進もうとしているバンドのライブに行ってきます。
タイトル曲:翌日/syrup16g