sleepy.ac tour 2011@京都・磔磔(9/11)
数か月前のある日、なんでそんな話になったのか忘れてしまったが、息子が唐突に言った。
「音楽が力をくれるなんて嘘やな。」
何度か一緒にライブに行ったことがあるので、そんなことを彼が言うとは思わなかった。
何か反論したかったがうまい言葉が見つからず、ただしょんぼりしたわたしだった。
*****
6月から先月までの恐ろしいまでの仕事の忙しさも一段落し、2か月ぶりのライブのために京都に向かった。
2か月も間が開くと、妙に気おくれする。
スリーピーのライブを最後に観たのはいつだっただろう。4月末の東京グローブ座のライブだっけ?
ライブに行けなかった間、ほとんど音楽からも遠ざかってしまっていたが、スリーピーだけは別だった。
友人に勧められて一気に買った初期の3枚のミニアルバムから最新のアルバムまで、車に積み込んで通勤途中に聴いていた。
ああ、ライブに行きたい。
そう思ったが、最近関西には来てくれない。やっとこの日、4か月ぶりのスリーピー。
磔磔に来るのも久しぶりだったので早く着きすぎて、磔磔の前には誰もいなかった。
近くのお店でお茶してから出直したら、30人くらい?のお客さんが来られていた。
(以下、ネタバレあり。MCは順不同)
(注・sleepy.abがアコースティックライブをするときは、sleepy.acになります。読み方はどちらも“スリーピー” 笑)
「自由席」ということで、フロアには木のベンチや丸椅子が置かれていて、ちょっと窮屈な感じで座った。
ドリンクはいつもと違って、席までスタッフさんがメニューを持って注文を取りに来られた。
ここのドリンクは確か、ビールか水かウーロン茶しか無かったように記憶しているが、この日はいろんなアルコールやソフトドリンクがメニューに書かれていた。(だから600円と高かった?)
ほどなく開演。
2階の楽屋から、メンバーがSE無しで静かに階段を下りて来られた。大きな拍手でそれを迎える。
やっぱり開演のこの瞬間のトキメキがいいなあ!(笑)
今日はアコースティックなので、スリーピーの皆さんも椅子に座って楽器を準備。津波くんはカホーンの上。
山内くんの周りのテーブルには照美さん(マトリョーシカ型テルミン)やアンデスという楽器が置かれていて、曲目が想像できる。
田中くんはベースを持って椅子に座って、いつものようにかっこいいTシャツ。
そして成山くんは、ボーダーじゃなくて薄いグレーの細いストライプのシャツ。うん「ac」だ!(笑)
開演。<セットリスト>
01.メロディ
02.ドングリ
03.写真
04.街
05.traveling fair
06.まっくら森の歌(谷山浩子さんカバー)
07.メトロポリタン美術館(ミュージアム)(大貫妙子さんカバー)
08.さかなになって
09.パレット
10.シェスタ
11.メリーゴーランド
12.エトピリカ
13.ドレミ
14.マザーグース
15.賛歌
16.(新曲)←仮タイトル:SWEET
17.かくれんぼ
En
01.メトロノーム
02.ねむろ
1曲目から「メロディ」は反則やん!
と思いながらも、成山くんの声とスリーピーの音に早くも涙目になる。
弾むようなベースの音がお気に入りの「ドングリ」
そして次の曲は・・・久しぶりすぎてタイトルがすぐ出て来ないけど・・・成山くんの声がすごかった。
心の深いところまで届くような声。
「写真」
数年前、一時期成山くんの声が出にくそうなときがあり、真剣に心配したのがウソのようだ。
「街 」〜「traveling fair」
静かな翳りのある曲なのに、どんどん押し込まれる感じで、思わずこぶしを握った。
カバーの「まっくら森の歌」
ひかりの中で 見えないものが
やみの中に うかんで見える
歌詞をたどって聴いていると、少し前の・・・今はずいぶん元気になったけど、息子の心の中をのぞいているようで、涙が出てきた。
まさかこの曲で泣くなんて。
このあと田中くんが、この曲が流れていた『みんなのうた』をあまり見たことがなかったみたいで、「僕はこの曲、知らなかったんですよ。みなさんは知ってたの?」みたいなことを言われて、みんなうなずいて(真っ先に山内くんがうなずいて)笑いが起こった。
成山くんが、
この曲の次にカバーした「メッセージ・ソング」も『みんなのうた』からで、
このツアーでも『みんなのうた』からのカバー曲をやります、と言ってから「メ・・・この曲は」とタイトルをばらしそうになり津波くんに突っ込まれていた。
津波くんのツッコミは絶妙で、関西人並みだ(笑)
「メトロポリタン美術館(ミュージアム)」
山内くんのオカリナの音が冴えてる!
独特の雰囲気のある曲を歌うの、成山くんうまいなあ。
この曲も知らなかった・・・と田中くんがまた言って笑いが起こって、そのあと山内くんが今吹いたオレンジ色のオカリナの紹介を。
その名は「イカゲソリーナ」!!(爆)
グッズとして作ったそうだ。
前回のacツアーのときの「イカリンバ」に続いて楽器シリーズ第2弾・・・というより「イカ」シリーズ第2弾?(笑)
手に持つ細長くなっているところに黒い線が数本書いてあって、それはイカの足(ゲソ)を表しているとか。
本体が青いオカリナもあって、それの線は白色で書いてあって、「イカソウメン」を表しているそうだ。
・・・・・山内くん・・・・(爆)
オカリナについて熱く語りながらも、「汗拭いていいですか?」と汗を拭う山内くんは、今日もキュートだった。
成山「いいけど・・・次の曲に引きずらないでよ!」(笑)
津波「深呼吸したら?」(笑)
「いや大丈夫」と言いながらも深呼吸をする山内くんはキュート・・・もういい?(笑)
「さかなになって」
大笑いしたあとでアレだけど、わたしにとってとても思い入れの強い曲で、再び泣きそうになる。
星の珊瑚の丘で 君を見つけた
「パレット」では、久しぶりに照美さんをあやつる山内くん。
間奏では立ち上がって演奏、拍手が起こる。
それに何か言いたげに津波くんが強くシンバルを叩き、二人が目を合わせて笑い合うのが見えた。
立ち上がって演奏した山内くんにツッコミを入れる成山くんと津波くん。
ライブ最初の頃に田中くんが、前回京都に来たときは確か雨が降ってて・・・と話されていたが、そのときの話を。
「パレット」の演奏中、山内くんがテルミン演奏しながら磔磔のドア開けて雨の中外に出てったそうだ。
「靴下が濡れて大変だった」って、山内くん・・・そこ?(笑)
そしてライブ後大阪に向かった。ちょうどサッカーのW杯中だったので、パブリックビューに連れて行ってもらったとか。
津波「大阪のひとって、サッカー見ながらもツッコミ入れるんだよね。」(笑)
それはPK負けしたパラグアイ戦だったそうで、負けたとき、あんなに騒がしかった店内がしーんとなって・・・
でもがんばったよね!って最後は拍手をしたそうだ。
なんか・・・サッカーの話、もっと聞いていたかったりして(笑)
「シェスタ」
「メリーゴーランド」の前には、「今からいよいよおやすみタイムで・・・すでに寝てる人もいますけど」(笑)
と成山くん。ほんと?もったいない!
磔磔の音はとてもきれいで、確かに気持ちよくなるけど。
「エトピリカ」
短いけど不思議なメロディにざわざわして、このあとはどの曲が続くのだろう。
と思ったら、「ドレミ」
見つめることで君の形 なぞって
忘れないように 月に描いた まぼろし
去年の1月、札幌道新ホールでのライブのあと、友人と見上げた月を思い出した。
あのときも「この日を忘れないよ」って思ったんだった。
アコースティックVer.で初めて聴く「マザーグース」
またざわざわ。
「賛歌」
涙。この曲と「さかなになって」は自分のための曲と勝手に決めている。泣きながら幸せな気分になる。
成山「みなさん木の椅子に座られてるんですね。お尻、痛いでしょ。大丈夫ですか?」
田中「僕も木の椅子だけど(笑)痛いです。」
津波「僕も木のハコだけど(爆)痛いよ。」(笑)
なんだか何気にMCがおもしろい。
10月に京都SOLE CAFEで、成山内のライブがあるらしい。近日詳細を発表するとか。
成山「成山内って、関西でライブすることが多いよね?」
山内「うん、札幌とかではあまりないよね。」
成山「じゃあ成山内は、関西を拠点にしてってことで。」
嬉しいことを言ってくれるじゃないの(笑)
唐突に田中くんが、さっき「エトピリカ」をソロで歌った成山くんに、
「ソロで歌う伏線?ですか?」
みたいなことを言われててよく意味がわからなかったんだけど・・・
成山くんはぼそっと、「(ソロは)寂しいよね。」と言われただけだった。
最近3曲くらい新曲をレコーディングしたそうで、アルバム発売はまだ先のことだけど、そのうちの1曲を、と。
成山「タイトルは未定、歌詞も未定です(笑)もっと変わるかもしれません。」
・・・素敵な曲だった!仮タイトルを聞いとけばよかった・・・(チョコさんに教えていただきました。SWEETだそうです)
最後は「かくれんぼ」
ああ、終わってしまうなあ。お尻痛いけどもっと聴きたい。
アンコールは「メトロノーム」と「ねむろ」
1曲1曲に思い出がたくさんあるな。
歌うひと、聴くひとがそれぞれの思いで音楽に浸っているんだな。
「音楽が力をくれるなんて嘘」だって、息子は言っていたけど、そんなことはないと思うよ。
目を開ければ、手を伸ばせば、耳を澄ませば、きっと何かがつかめるはず。
力?光?希望?夢?
何かはわかならいけど。
またそんな話ができたらいいね。
今年13年目を迎えたスリーピー。
彼らを取り巻く環境はいろいろ変わっているのだろうけど、
変わらないもの、揺るぎない強さみたいなものを感じた美しいライブだった。
ありがとうございました。またお会いしましょう!