星と石ころ日記

神戸在住。風の吹くまま気の向くまま。

 地震の記憶

寝ようとしたとき地震が起こった。

それほど大きくはなかったけど、地の底から鳴り響いてくるようなゴーッという音。ほんの数秒で揺れは止まった。震源地は兵庫県南東部震度3。あの日の記憶がよみがえる。

10年前。うちなんてたいしたことなかったよー。電気は数時間でついたし、水は3日出なかったけど、べランダの壁土が崩れて落ちたけど、食べ物は売り切れてお菓子しか買えなかったけど、電車が動かなくて職場まで片道2時間歩いたけど、とにかく生きてたもん。

 

ゴーッっという音で、フラッシュバックのようにいろんなことを思い出した。

2時間歩いている間じゅうサイレンや救急車の音が鳴っていたこと。

 15階建てのビルが傾いている横を走りぬけたこと。

避難所になっているあちこちの体育館を回って、お年寄りの話を聞いていたこと。

子どもを預けている保育所の建物が陥没していて、それでも預けて仕事に行かなければならないから、「預けている間、何が起こっても責任は問いません」という書類にサインをしたこと。

 

不思議とみんな文句言わなかったなあ。

あのときは手を差し出すほうも、差し出されるほうもみんな被災者だったから。

 

人間の記憶って不思議だ。どんなつらいことも忘れる日がくるのかな。そしてある日ふっと思い出して、忘れていた自分が恥ずかしくなるんだ。でも忘れなくちゃ生きていけないときもあるよ。それは誰にも責められない。自分でも責めちゃいけない。

だってそうやって人は強くなるんだ。きっと。

 

Rinko

<今日のBGM> 僕が僕であるために/尾崎 豊