星と石ころ日記

神戸在住。風の吹くまま気の向くまま。

 あなたとわたしの距離

 
看護学生のとき実習で、先輩看護婦さんや先生に、患者さんの心を理解すること、心を開いてもらってその人が本当に望んでいること苦しんでいることを把握することが大切だと教えられた。
 
 
でもわたしは優秀な学生ではなかったので、なかなか実行できなかった。
 
 
だって、たかが19や20歳の小娘に、世間の荒波を生きてきた立派なおとなの人たちが、自分の苦しみや望みを打ち明けられるわけがない。それとも白衣着てたらわたしらでもパワーアップできるんか?逆の立場なら、わたしは学生のわたしにそんな大事なこと話せない。
 
 
だから病棟実習は、葛藤の連続だった。どうしても患者さんとの距離の取り方がわからなくて。とっくに学生でなくなった今でも、その気持ちは変わっていない。
 
 
 
 
中学生の頃のわたしの遊び相手は、AちゃんとBちゃんという同級生の女の子だった。3人でそれぞれの家に遊びに行ったり泊まったり、延々と電話で長話したものだ。わたしは親友だと思ってた。
 
 
ある日3人で話していたときBちゃんがわたしに、「ねえ、あんたって友達少なくない?親友っている?」と聞いた。
 
 
すごいショック・・・・親友だと思っていた人からそんな風に聞かれたんだ。
何も言えなかった。
 
 
そのあとも同じように遊んでいたけど、それまでのような楽しさはなくなっちゃった。
 
 
おとなになってからもBちゃんとは交流がある。あのときのことを「わたしはすごくショックだった」と話してみた。
 
 
Bちゃんは「ごめんね」と言ったあと、「だって、あんた、全然自分のこと話してくれなかったから」歯がゆかったんだそうだ。自分たちに心を開いてくれてないと思った、って。
 
 
 
確かにそうだった。人の話を聞くのは好きだったけど、自分のことは話せないの。自意識過剰なのかな。人がわたしのことどう思ってるんだろ、“こんなことまで話したら迷惑かも”って思ってた。
 
 
そして何よりも、自分の深い部分を口に出してしまうと、自分が壊れてしまいそうで怖かった。人と理解しあうには、お互いに心を開かないとだめ、とはわかってたんだけど、どうしても踏み込めない線があった。
 
 
 
 
人との距離のとり方って難しい。お互いがもっと近づきたいって思っていたらいいんだろうけど、そのバランスが悪いとギクシャクするよね。あらたまってそんな話をしてから付き合うような関係ばかりじゃないし。
 
 
 
それに心の距離と身体の距離が必ずしも正比例するわけじゃない。毎日顔を合わせても理解し合えない人もいれば、遠く離れていても悲しみや苦しみが、まるですぐ隣にいるように感じられることもある。
 
 
 
不思議だね。
 
 
 
 
こんなわたしでも、歳を取ってわかったことがひとつある。
 
 
 
自分を晒したって自分は壊れやしない。
 
 
 
自分を壊すのは他人じゃない、全部自分なんだ。
 
 
 
 
 
今日の1曲:君待ち/syrup16g


コメント プレイバック

1.Rinkoさんの意図する意味の「壊れる」とはちょっと違いますが、今僕の母親は「壊れて」しまってます…
「何でこんなに私の周りには人が少ないんだろう、と思っていたけど、やっとわかった。自分が人を見下して、うまくいかないことを人のせいにして生きてきたから。それで死にたいと思ったけど勇気がない」
こんなことを言い始めたのが去年の12月頃。だんだん鬱の傾向が酷くなって、正月の頃には完全におかしくなってしまいました。夜中に廊下で叫んでいたり、意味不明なことを言ったり…病院へ通って最近は少し良くなりましたが、抜け殻のように見えます。人間ってこんな簡単に壊れてしまうもんなのか…ショックでした。僕自身今はかなり鬱状態で、PCで現実逃避してる感じです。音楽が無かったらどうなっているかわかりません。こんな話されても困るとは思いますがどうしても誰かに聞いて欲しかったので長々と書いてしまいました…すいません。
Posted by ks at 2005年05月14日 17:32


2.ブログにコメントありがとうございました。
本当に優しい言葉をもらって嬉しかったです。
昨日は友達にも夜中に相当長く話を聞いてもらって、少しは気持ちが落ち着きました。必要以上に迷惑かけたくないので今はやめときますが、またどうしようもなくなった時はメールさせてもらいたいと思います。
自分勝手なやつですが、今後もよろしくお願いします。
Posted by ks at 2005年05月15日 20:39