星と石ころ日記

神戸在住。風の吹くまま気の向くまま。

the pillows OOPARTS TOUR@Zepp Nagoya(2/13)



今回のツアー、FC先行で取ったチケットが8枚。

多すぎるやろー、全部行けるとは思われへん。でも、行けたらいいな。



ところが、JCBファイナルの前日にもう1本東京のライブを入れてしまったので、いよいよピンチ。

体力もなくお金も尽きた。(気力だけはあるけど 笑)




それで、この名古屋を断念することにした。


今まで何回も名古屋でピロウズのライブを観てきたが、この2年くらいの名古屋でのライブは、いやな思いをすることが多かった。




押すだけが目的のモッシュ

ヤジに近い声かけ、

フルコーラスの大合唱。


どこの会場でもあるが、それがひどい。



客がペットボトルをステージに投げて、Peeちゃんの機材に水がかかったこともあったと聞いた。



もうやめやめ!名古屋には行かない!


そう決心し、チケットを手放した。なのに・・・




なんばHatchのライブであんなことが起こってしまった。

(そのレポはこちら→http://d.hatena.ne.jp/firesign0916/20100208/p1)


そのあとの長野はとてもいいライブだったと聞いたけど、その次の名古屋が心配だ。

これ以上、さわおさんとお客さんの関係がギクシャクしたらどうしよう。



やっぱり名古屋は心配だ、行かなきゃ。

わたしが行ったところで何の役にも立たないのはわかっていたけど、居ても立ってもいられなくなってチケットを探した。

何をやってるんだろう、わたしは。。。




それでもなんとかチケットを譲ってもらえることができた。届いたのはライブ前日の金曜日。



名古屋では友人が待っていてくれて、「リンコさん、やっぱり来ると思った!」と笑われた。

行くって言ったり行かないって言ったり、ごめんなさい。




整理番号は600番台。寒空の下、半袖1枚、タオルを肩にかけて待った。




開場。


いつもならさわおさんのまん前、2ブロックめあたりに行くのだけれど、名古屋は押しがきついし、真ん中あたりは背の高い男の子でいっぱいだった。

なので今日は違う場所で観ようと、最前ブロックの淳くん前7列めに行った。



斜めからステージを観ることになるが、4人ともよく観える場所。なかなかいい感じ。



冷えた身体をほぐしながら、開演を待った。


会場に流れる音楽がぷつんと消えた途端に客電が落ちた。


後ろから押しが来て、4列めまで押されて行った。



(下にネタバレあります。長いです)








〈セットリスト〉


01.Dance with God
02.ビスケットハンマー
03.ROCK'N'ROLL SINNERS
04.YOUR ORDER
05.FOXES
06.Lemon Drops
07.メロディ−
08.Kim deal
09.Rodeo star mate
10.I think I can
11.Blues Drive Monster
12.Winnig Come Back!
13.Like A Lovesong(Back To Back)
14.ジョニー・ストロボ
15.Beyond the moon
16.LIFE SIZE LIFE(The bag is small,and I don't enter)
17.Primer Beat
18.この世の果てまで
19.No Surrender


En1


01.雨上がりに見た幻
02.TRIP DANCER


En2


03.No substance





最初にずいぶん押されたけど、曲が始まってからはそれほどひどい押しはなく、なかなか快適なモッシュ(笑)




●4曲くらいやってからMC。


さわお「久しぶりじゃないか!元気にしてたか?

俺はめちゃくちゃ元気だぞ!!」



いえーい!!





誰かが「さわおさーん!」とコールした。


周りにいるみんながはっと息を呑んだ感じで、緊張感が漂った。


そのせいかメンバーの名前を呼ぶ声は少なめ。




最初のチューニングのとき、みんな咳ひとつせず、し〜んとステージを見守っていた。


気配を察したさわおさん、


「今日はいやに静かじゃないか(笑)・・・いつもどおりでいいんだよ!」


その言葉と笑顔に張り詰めていた空気がほぐれた。




●わたしのまわりにはフルで合唱する人もなく、みんなで歌うところはしっかり歌うという、メリハリがあっていい感じ。

モッシュよりも何よりも、さわおさんの声が聴こえないくらい熱唱する人が一番迷惑だ。


そして、メンバーに声をかける人がいるにはいたが、「さわおー!」と呼び捨てにする人は少なかった。

みんな「さわおさ〜ん!」って。



●“Kim deal”


最強のラブソング。


この曲がベストの中に入っていないのはピロウズ7不思議のひとつ、と言った方がおられたけど、同感。

でも、1枚のアルバムの中にとどまって光を放っているから、余計愛おしいという気もする。



このツアーでさわおさんは、「みんなの好きなくだらない歌じゃない」の部分を、

「みんなの好きなあのくだらない歌じゃない」と歌っておられるが、今日は、


奴らの好きなあのくだらなねぇ歌じゃない!


と。どんどん過激になってるよ?(笑)



●客の男の子が“あっつい〜”と言ったらそれを受けて、


さわお「ホント暑いなぁ〜!しかも俺Tシャツ2枚着てるし。」(笑)

黒の半袖の上から白の『LIFE SIZE LIFE』Tシャツを着ている。


客“脱げばー?”


さわお「脱いだらブラジャーが透けるだろー!」(爆)


客“今日のブラは何色?”


さわお「結構カラフルなやつなの。」(笑)



さわお「そんなわけでシンちゃん次の曲の用意して!」


シン「はい。ブラが透けるとあれなので、上から着ます!」(笑)


シン「(自分の胸を揉みながら)いや〜最近ホントにスポーツブラならいけそうな気がします。」(爆)


シンちゃんおなじみの?アロハを上から着用。(そういえば大阪では“装着”って言ってた)


歓声が上がる。



シン「今日は特公があります、特別公開ってやつ。」


と言いながらあるしかけを。


これの詳細は内緒(笑)なぜ内緒かは後半のMCで。



“Rodeo star mate”


ライブで聴くたびに好きになるよ。スティッチの仲間になった気分(笑)



●「このツアーも残すところ東京のあと2本。

ホテル暮らしも今日で最後なんだが・・・自分の時間の感覚がおかしくなっちゃってな。

たとえば、集合が3時半、って言われたら3時に起きるとか(笑)




それで、1時頃だったか、何か部屋の中で鳴ってるんだ。それが部屋の電話だった。

う〜ん・・って出ないでいたら、部屋のTVがばっと点いて、青い画面に“至急フロントまで連絡ください”って。」(笑)



「ホテルってあるじゃないか、 ドアにかける『起こさないでください』みたいな札が。

俺、今回のツアーでホテル23箇所ぐらい泊まってるけど、あの札下げてて起こされたのは今日が初めてだ。


それでフロントに電話したら“今日のお掃除は〜”って(笑)

もう俺あったまきて、 おまえなんで鳴らすんだと。



いやさ、ドアにかける札が俺の手作りので、 俺が決めたルールってならしょうがないよ?

だけど、おまえらが作った札を下げてるのになんで起こすんだ!と。」(笑)



「これで何か言い返したら前歯全部折るくらい殴るんだけど、向こうが“あ、しまった”って感じで謝りだして。


俺、頭来てても寝起きだから、言葉にならなくて。

『あ!・・・う・・・ わ!』みたいにしか言えなくて。」(笑)



「で、自分で・・・トイレに行きたくて目が覚めたとかならまた寝れるけど、寝れないじゃん、起こされるとさ。


俺はあと2時間は寝れたんだ!


声の調子に影響するんだよ!寝れないと!


だから、何かほんわかした気分になる曲を聴こうと考えた結果・・・」



「(かわいらしく)チャットモンチーを聴くことにしました。」(爆)





「(小声で歌って)♪ヒラヒラと開いた秘密の扉サクサクと 咲くないしょのつぼみ♪・・ぐー。 寝れました!」(爆)



「だから今日、声も出まくってる!」(おおっ)


チャットモンチー、ありがとう!」(笑)


「ヒラヒラと〜♪」ってさわおさんが歌っている間、Peeちゃんもニコニコしながらさわおさんを見て、首を縦に振ってリズムを取っているのが見えた。かわいかった!



「めっちゃ出る声で歌います!」(笑)


“Like A Lovesong(Back To Back)”




ライブ前に友人と話していたことを思い出した。


「そこにいるマイフレンド〜♪」のあと、さわおさんがマイクから離れてステージ前方に身を乗り出して、みんなに歌ってくれ、っていうしぐさをする、「これはキミの歌〜♪」の部分。


そのときの客の雰囲気で、歌わせてくれないときもあるんだよね。

アウェイ感いっぱいのイベントでもそう。さわおさんが意識されているかはわからないけど。


年末の“RADIO CRAZY”のときも、結構バスターズいたのに、“Funny Bunny”を歌わせてもらえなかった。

あのときも雰囲気悪かったからな。でもショックだった(←根に持っている 笑)



だから、なんばHatchの2日めのライブでさわおさんがキレたあと、この部分を「歌ってくれ」とアピールされたときに、涙が出そうなくらい嬉しかったんだよ。(実際泣いた)



そのあとの“ジョニー・ストロボ”、“Beyond the moon”も素晴らしかった。


“ジョニー・ストロボ”の、


 今出会った 未来を擦り減らして
 出会えたんだ 戻れない旅の途中


の歌詞に泣きそうになった。 




さわお「ベース、鈴木淳!」


淳「ベースの鈴木淳です(笑)

僕のところにもフロントから電話がありましたが、 凄く丁寧でしたので、おそらく山中くんに怒られたあとじゃないかと(笑)なので、怒るわけもなく、タオルだけ替えてもらいました。」



さわお「なんでみんなどんどん、俺を怒りっぽいキャラにするのかなあ?

今、ただでさえ俺、微妙な時期なのに。」(笑)


さわお「さっきの話、やめとくべきだったかな。チャットモンチーのところだけ覚えて帰ってくれればいいんだ。」(笑)




さわお「ギター、真鍋くん!」



Pee「ギター、真鍋吉明です。

今日、名古屋で地方公演ラストなんですよね。


まわってるとね、いろんな想いやいろんな想いやいろんな想いやいろんな想いがあるんですが(爆)

こうしていると本当に楽しいです。最後まで楽しんでってください。」(拍手〜)



さわお「(笑いながら)ドラム、シンちゃん!」


シン「えー、ドラム佐藤シンイチロウです。

先程のあれですが(Rodeo star mateのときのしかけ)、もっと盛り上がるいい考えが浮かびましたので、東京公演で改良したいと思います。だから・・・


誰にも言うんじゃねえぞ!!」(爆)


シン「“表現の自由”ってものがあるのは重々承知の上ですが、ネットなどに書くのを控えていただければ嬉しいです。」(笑)


さわお「(客を見て)ハードル上げちゃったなあ・・・(笑)


(シンちゃんのほうを振り向いて)おまえ・・・さっき俺が熱唱しているときに、ずっと改良することを考えてただろ!」(笑)


笑顔でうなずくシンちゃん。



さわお「人がビューティフォー ビューティフォーって歌ってるときに!」


シン「ビューティフルな改良点を。」


さわお「うるせえよ!!」(爆)



なのでしかけについては内緒です。東京公演に行かれる方はお楽しみに(笑)

ってかJCBでもやってよね?シンちゃん。




さわお「えー、最近怒りっぽいと評判の山中さわおです(爆)


まあ最近でもないんだけどさ。」(笑)




●「the pillows、21年目に突入しております。


新曲もできていて、歌詞のないやつはいっぱいあるけど、既に歌詞がついてるのが4曲。」(おおっ)


「去年で燃え尽きるのかと思ったけど、まだ大丈夫みたい!(笑)

武道館、来てくれた人もここにいると思うけど・・・」


たくさん手が上がって「おっ、おっ?」と驚くさわおさん。


さわお「DVD観てくれた人もわかると思うんだが、なんかあれは感謝しすぎたなー・・・いや、感謝してるよっ?」(笑)



「で、今後はもっと丁寧にライブとか、こなして行きたい。

って言うと・・・今まで丁寧じゃなかったのかって突っ込まれたらあわあわ、なんだけど」(笑)

「もっといい曲を作りたいっていう・・・音楽的な達成感はまだまだ足りないんだけど、セールスとか、そういう商業的な達成感はもうこのぐらいでいい。

っていうか、俺の人間性を考えると、今は売れすぎている。」(笑) 




「(自分のTシャツのロゴを指さして)LIFE SIZE LIFEと書いてある。

等身大の人生、って意味だ。


似合うTシャツを着て、


似合う音を鳴らして、


お似合いのキミたちに出会えた。嬉しいよ!」



前に聞いたときより、ずっと重みが増した言葉。



“LIFE SIZE LIFE(The bag is small,and I don't enter)”


 I'll get over lone night
 I'd like to be life-size


   (独りぼっちの夜を乗り越えよう
   僕は等身大でありたいんだ





●アンコールのあと、さわおさんがひとり残ってマイクの前に立って、


「今日ねえ・・・良かったわ!楽しかった!ありがと!」


嬉しそうに、そしてちょっと照れた感じで。

シンプルなこの言葉に、さわおさんの気持ちが凄くこもっているのを感じた。


さわおさんの気持ちがみんなに通じて、みんなの気持ちがさわおさんに伝わったんだと思う。



「“この曲絶対好き!”って言うような新曲を作ってみせるよ!」



●Wアンコール。


淳くん前に来てグータッチをするさわおさん。

とても長い時間たくさんの客と。


そういえばなんばHatchの2日めには無かったな。(ダイブがあったけど)


わたしも手を伸ばしたが届かず。手を伸ばしたまま近くに来たさわおさんのこぶしを、人差し指にはめておられる指輪を見ていた。


そしたら最後に、最前列の女の子の頭を空手チョップ!


その振り下ろした手の指の爪が、わたしの手をかすめていった。


痛い!でも嬉しい!(Mか? 笑)


柔らかい空手チョップだったけど、女の子はびっくりして腰砕けになって倒れそうになり、周りのひとが支えた。

それを見守るさわおさんの笑顔が優しかった!うん。



「お前らとっとと帰れよ!」(笑)


と言いながらチューニングするさわおさん。

「こないだからさ、何をやればアンコールで全く盛り上がらず、微妙な気分で終われるか考えてた(笑)


で、“And Hello!”とかどうだろう?・・・反応しづらいね、これ!」(笑)



 薄目を開けて
 偏見と私見に満ちた落書きに
 苦笑い



うわっ、確かに微妙な・・・ちょっと皮肉が入ってるやろ〜(笑)



「まあとにかく、なんだ、これなら残らない方がよかったなあ、みたいな」



ええー!?



「嫌ならいいんですよ?今すぐ帰ってください(笑)


俺たちは今からリハーサルやるんだから!」(笑)



そしてドラムのイントロ。


“No substance


きゃー!!また聴けるとは!!


最後の力を振り絞って、みんなで飛んでモッシュした。

これがホントのモッシュだよね!






今回わたしは、あまり立ったことのない場所でライブを観たけど、とても楽しかった。


今までの名古屋だったら、最前ブロックにいたらライブを観るどころじゃないくらい押されたけど、それもあまりなくてじっくり観れた。


そのおかげで、今まで気づかなかったことに気づけて、初めてライブに来た若者みたいに、ずっとドキドキしながら観ていた。


それは、バンドであればごく普通の光景なのだろうけど、今までのピロウズのライブではほとんど気に留めていなかったこと。他のひとはとっくに知っていたことだと思うけど。




淳くんはなんて楽しそうにベースを弾くんだろう。

お客さんと目が合ったらにっこり微笑んでくれるし。



Peeちゃんは、間奏でかっこよくギターを弾いて、また歌に戻るときにさわおさんのほうにとても優しい視線を向けるんだね。


曲の終盤では、Peeちゃんとシンちゃんが視線を合わせてうなずき合うのを何度も見た。


そしてさわおさんのMCを、3人はとても楽しそうに笑って聞いているんだ。



ライブ中のさわおさんは、フロントマンとして客と向き合い、その場の空気を読んで歌ったりMCしたりしている。


それはおそらくものすごく神経をすり減らす作業だと思うが、3人が後ろにいてくれるので気持ちを集中してできるのだろう。



なんばHatchのライブのあともその日のことを考えていたのだけれど、もし、客の気持ちとすれ違うようなことがあったら、MCをほとんど無くして、曲だけやってさっさと帰るって方法もあるよね?

でもそうせずに、客にキレて正面から怒ったのは、まだわかりあえる、歩み寄れると思ったからだと思う。




長野のライブでさわおさんはこう言われたそうだ。


7日のなんばHatchのあと友人が気を使って、「賛否両論あるけど気にするな」というメールをくれた。友人はネットでいろんな意見を読んだらしい。


「賛否両論って、“否”があるのかよ〜、って結構凹んだよ。」


でも、長野でみんなの歓声を聞いて、いろんなことが吹き飛んだって。




名古屋ではその話には直接触れなかったけど、まだ気にしているような雰囲気が感じられたし、お客さんもそれを感じて、無茶苦茶な行動はできなかった様子だった。


っていうか、それが普通なんだよ。


みんな苦労してチケット取って、ときには遠征して、そうするとチケット代より交通費のほうが高かったりするけど、それでもライブハウスに向かうのは、


大好きなバンドの音楽を聴いて、メンバーさんの口からおもしろい話やそのひとの想いを聞いて、楽しい時間を過ごしたり、感動したり、元気をもらったりしたいからだよね?


そしてそれが、その場に集まったひとたちと共有できたら、もっと素晴らしい時間になる。



これは、最近知り合った方から聞いた話。

その方の友達はいつも2階席でピロウズのライブを観られるそうだ。そして、


「観客とさわおさんの息づかいが完全に一体化する瞬間がライブ中1〜2回あって、時間が止まったみたいに見える」


と。


この話を聞いて、鳥肌立ったよ。


この日の名古屋は、その感覚に近いライブだった。

手放したチケットをまた探してまで、名古屋に行ってよかった。

大好きな友人が住んでいる名古屋という街を嫌いにならずにすんでよかった。



ライブ後久しぶりに、あの場にいた人たちみんなに、「ありがとう」って思ったよ。


わたしの大きなハコ嫌いは変わらないけど、またここに来よう。


これからもいろいろあって、心がザラザラするようなライブもあるだろうけど、この日のことを忘れずにがんばろう。




写真は開場前に並んでいたときに見た、名古屋の夕暮れ。

Zepp Nagoyaから見たこの風景が、実は大好きなのでした。