神戸から京都まで、というのは、近いように見えて実は遠い。
神戸のわが家から京都のSOLE CAFEまで、約3時間かかる。
こんな寒い日に3時間かけての京都行き。我ながらモノ好きだと思う。
それでも通い慣れた道のり、着いたら友人にたくさん会えて、言葉を交わしたことがなくても目が合えば目礼するような人も多くいる場所で、好きな音楽が聴ける幸せはかけがえのないもの。
そんなことを考えながら、寒さに耐え忍んだ。
この日は海北くんのソロライブなので、ギターとルーパーとマイクだけというシンプルさ。
みんなで肩を寄せ合って開演を待った。
(↓以下にセットリストあり)
海北くんのシャツは珍しく赤と紺色のチェック。赤色ベースの服装は珍しい気がする。
〈セットリスト〉
01.小さな町の小さな唄
02.北風と太陽
03.バードコール
04.ライン
05.over
06.柊
07.その瞬間に(No Regret Life カバー)
〜休憩〜
08.合い言葉
09.30(新曲)
10.灰色の夜明け(新曲)
11.最後の頁
En.
01.旅立ち前夜
「ルーパー」とは、あるフレーズを繰り返して、そこに音を重ねていって楽曲を作っていくようなスタイルのために必要な機材、エフェクターの一種ってことでいいのかな?
最近ルーパーを買ったんだよって嬉しそうに海北くんは話して、今日はこれを使っていろいろやってみよう、と。
ギターのワンフレーズを弾いて、それにギターのボディを打楽器のように叩いた音を重ねる。
ときには音の高さの違うコーラスを重ねていって、それらの音を駆使して演奏すると、ソロの演奏ということを忘れるくらいに豪華な音になった。
きれいだけど、それを真剣に使っていろいろ試している海北くんは、大好きなおもちゃを買ってもらった子供みたいだった。
(ここからのMCはうろ覚えで順不同デス)
●海北くんの弾き語りライブは、ゲストがいるときもあって、そのゲストの中の二人が歌ってくれたのが“北風と太陽”だったそうだ。
久しぶりに聴けて嬉しかった。
そしてこれまた好きな“バードコール”に耳を傾けていると、3曲目は“ライン”
“ライン”!!一体いつ以来?
もしかして2005年11月の初めてロストのワンマンを観た、BIG CAT以来じゃあ?まさかね。(記憶に自信なし・・・)
●ルーパーを買うきっかけは、セカイイチのギターボーカルの慧ちゃんが使っているのを見てほしくなったようなことを言われていた。
だんだん使い慣れてきた海北くんは、
「次3人でやるとき、源ちゃんの叩くカホーンの音を録って、それに合わせて僕がベース、みっちゃん(三井くん)がギターを弾いて、そして源ちゃんにワインを注いで回ってもらおうか」(笑)
源ちゃんは最近?シンセサイザーを買ったそうだ。その音を真似して、「ポリシックスか!?ロストに需要ないだろ?」(笑)
三井くんはギターもベースも弾けて、鍵盤も弾けるそうだ。3人でシンセ演奏しようか、それじゃあYMOだねって(笑)
ひとりまったりのライブなので、楽しいMCが多かった。
●ひとりで弾き語りの旅に出始めた頃、フランスから来た3人組のバンドと一緒になった。
その3人は、日本語を話せないのにスタッフも連れて来ていなくてどうするんだろと思ったけど、なんとか演奏旅行が続けられていたらしい。
カタコトの英語で話すフランス人3人組と、中学生レベルの英語しかわからない海北くんとの珍道中の話は、爆笑の連続だった。
新幹線の中できれいな富士山が見えたとき、「beautiful!」って嬉しそうに言ったひとりが歌を歌い始めて、それがなんと「トットロ トット〜ロ〜♪」
他の二人も一緒に歌い始めて、近くの席に座っていたおばあさんに目を丸くされたそうだ。(ひとりアニメ大好きなメンバーがいたらしい)
●10年以上の付き合いのあるバンドが、解散したりメンバーが抜けたり。そんなニュースが続くこの頃。
以前、LUNKHEADの小高くんと一緒にライブに回っていたときに、小高くんが「やっと海北の気持ちがわかった」と言われたそうだ。
小高くん、「バンドは、メンバーがやめたら解散だって思っていたけど、そういうものじゃないんだ」って。
そんな話のあと、No Regret Lifeの“その瞬間に”を。
ノーリグの思い出も一緒にぐるぐるした。
ここで前半終了。トイレ休憩。
いただいたドリンクは、「期間限定」の言葉に負けてゆず茶。おいしかった!
●後半のはじまりは“合い言葉”
前半に話のあったフランス人3人組に、日本語の五十音の説明をしたそうだ。
「日本語は五十の音からできていて、ひとつめは“あ”、ふたつめの文字は“い”、だから日本語の始まりは“あい”=(イコール)means LOVE!」って言ったら、「ビューティホー!!」って(笑)
伝わるもんだね。
●新曲の“30(サーティー)”は、CDではみっちゃんのギターが凄くて、アコースティックで聴くのとは全然違う曲になっていて、このCDのMVPはみっちゃんだな、と。
「小高くんがおもいろいこと言ってた。みっちゃんはギタリストっていうんじゃなくて、ギターで何かをするひとだねって」
小高くん、いい表現するねえ。思わず心にメモをした。
●所属レコード会社の話。自分からこんなことやりたいって言わないと動いてくれないんだ。でも「海北盤作りたい」って言ったら、おもしろいじゃんそれ!やろうよ!と言ってくれた。いい会社です。
4月10日リリース予定の「( )トラスト オーバー サーティー」というアルバムタイトルの話もされていた。
●今33歳だけど、20代の頃よりずっと楽しい、40代はもっと楽しいと思ってる。
紆余曲折あったけど、ハラハラさせてしまったこともあったけど・・・ロストインタイムは今、とってもいい状態です。充実してます。
そう言っていたのはライブの最初の頃だったかな?
今までのことを思い出して、胸がじーんとしてしまったよ。
●4月リリースのアルバムには収録されていない新曲を。
“灰色の夜明け”
ルーパーを駆使した切なく美しい曲で、歌い終わってから「慧ちゃんに聞かせたいな」と。
また岩海苔のライブもやってね。
●前日一緒にライブをやった踊ってばかりの国の下津くんが、「人生は罰ゲームだね」って言ったから、どういうこと?って聞いたら、「だってみんな最後は死ぬでしょ?」って。
「彼はすごいよ。まだ23歳なのに」
「最後のときを思うってことは、今を精一杯生きるってことだと思うんだ。
ロストインタイムもいつかは終わりがくる・・・ずーっと先の話だよ?まだまだがんばるし。
でもそのときがきたら、悲しい、じゃなくて、がんばったね、おつかれさん!って言ってほしいんだ。
だから、もっとがんばるよ」
“最後の頁”
ちょっとしんみり泣けたけど、33歳になっても青さを失わずにいて、「今とても充実してます」と言える海北くんが、まぶしかった。
●アンコールは“旅立ち前夜”
他の曲を用意していたけど、気持ちが変わってこの曲をやった感じだった。
そのへんの心の動きを知りたかったよ。
終演後、物販で手作りCDの「新海北盤」を買った。
つながりの深いNo Regret Lifeやセカイイチや町田さんなどのカバー曲も入っていてお得(笑)
バスの時間がない!と言いながらも、サインをもらって握手してもらってお店を出た。
6月には大阪ワンマンも決まっているし、まだ他にも何かありそうだし(←意味深)、次の約束ができる幸せを抱いて帰路についた。
雪がちらついて寒いけど、暖かい2月の夜だった。